浄瑠璃寺

浄瑠璃寺は、京都府の南部、加茂町にあります。加茂町の南はもう奈良県です。そのため、浄瑠璃寺に行くには奈良駅からバスに乗るのが便利だと思います。近くの岩船寺と一緒に回る定期観光バスも、奈良駅から出発です。

浄瑠璃寺は、めずらしい九体阿弥陀堂（本堂）が現存していることで有名です。もともとの浄瑠璃寺は薬師如来を本尊としたお寺だったそうで、創建は平安時代の１０４７年。小さなお寺だったようです。

１１０７年に薬師如来を別のお堂に移して、新しい本堂が建てられたようです。それから境内に池が掘られ、１１５７年にはその池の西側に本堂が移築されました。このときの移築によって、九体阿弥陀堂と池の景観が出来上がったことになります。

歴史的には興福寺とのつながりが深いお寺だそうで、鎌倉時代には結構栄えていたようです。たくさんあったであろう建造物も、時代の流れの中でほとんど失われてしまい、古くから残っているのは本堂と三重塔だけです。

浄瑠璃寺本堂（国宝）

池のほとりの本堂。

九体阿弥陀堂（九体堂）の唯一の遺構として、とても貴重な存在です。九体堂の名称が示すとおり、内部には９体の阿弥陀如来像（全て国宝）が安置されています。

中央には江戸時代の向拝が付いている。

江戸時代以前は、瓦葺ではなく桧皮葺（ひわだぶき）だったそうなので、だいぶ軽快な雰囲気だったのではないでしょうか。建物の正面に一間の向拝が付いていますが、これも後の時代に付けられたものです。

９体の阿弥陀像それぞれの前に扉がある。

浄瑠璃寺三重塔（国宝）

本堂前の庭園は、名勝・史跡に指定されています。その庭園にひっそりとたたずんでいるのが三重塔です。もともとは京都の一条大宮にあったそうで、１１７８年に移築したものと伝えられています。

本堂の前から見た三重塔。

三重塔の型通りの三間四方。桧皮葺の屋根です。高さは１５メートルあまりと、三重塔では小さいほうです。

三重塔を見上げる。